いつでもキミが


「横にならせたらすぐ戻るから」

「ん…」

そう言って鍵を開けて部屋に入ると、既に布団は敷かれてある。
…どこでもいいか…と適当なところに寝かせようとしゃがみ込むと、ぎゅっと繭の腕の力が強くなった。

「はじめちゃん……ありがとう……」

「…どういたしまして」

繭は酔っ払ってまで俺に感謝すんのか、と思ったら、つい笑ってしまった。


「…………だいすき……」

「……っ?…」

ポツリとそう呟いた繭の腕の力は抜け、俺の背中から落ちそうになる。
それを支えるようにしてそのまま布団に寝かせるが、既に彼女はスピーー…っと安心したように眠っていた。

今の……どういう意味だ…?ーー

違う、違うっつってんだろ…っ

繭の言葉に反応し熱くなっていく顔に、否定するかように自分に訴える。

俺は急いで繭に毛布をかけ、部屋を出た。

今の状況で部屋に2人はヤバすぎる…俺だって普通に思春期なんだよ…!
徹みたいに紳士になれるか……っ

外に戻るにも先輩から追求されることは間違いない。
ということだけはしっかり考えることができた俺は、自分の部屋に早足で戻った。

"だいすき"

その言葉が頭から離れない。

違う、そういうのじゃない。
繭にとってはそういうのじゃないんだって……

何度もそう言い聞かせ、俺は火照る体をなんとか落ち着けようとしていた。ーー


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