いつでもキミが


私と鞠がどう違うかと言えば、姉の鞠は仕草も言葉遣いも可愛くて優しい。
鞠は小さい頃から体が弱く、調子が良ければ適度な運動は大丈夫だが、激しい運動を長時間すると倒れてしまうことがあったため、体育はできる範囲でやっている。
その上天然かつおっちょこちょいなのでどこか目が離せない。
ふんわりした雰囲気や喋り方、声に、家族ですら癒される。

その可愛らしさとは打って変わって正反対なのが私。
しっかり者で男っぽい性格に言葉遣いが可愛くない。
健康だけが取り柄といってもいいほど健康体。
本当は性が男だったところを、神様がうっかり間違えたのではないかと思っている。

鞠が執着心があって女の子らしく儚い印象だとすれば、私はサバサバしてて男っぽく図太い。そう、まるで正反対なのだ。

「今まで好きな服も音楽も真逆だったのに、好きな人がかぶるって……」

「でもあれは私が繭でも惚れるかもしれんな。しょうがないんじゃん?ヒーロー感出しまくってた柳沼が悪いよ」

「…………」

優菜が言っているのは、入学した後すぐにあった初めての学年でのオリエンテーションのこと。

体育館に集まっている最中、私とクラスが違う鞠は緊張と人に酔ってしまった様子だった。

それに気づいた私がすぐに鞠のところに向かい、担任の先生に伝えて保健室に連れて行こうと体育館を出ようとした時……


< 3 / 167 >

この作品をシェア

pagetop