Pierrot



それから数日、詩音は颯をどこか避けてしまっていた。挨拶はしているつもりだが、颯と文化祭の準備をした日の前のように目と目を合わせることができない。

「何かあったの?」

そう友達に訊かれても、「気のせいだよ!」と笑って誤魔化す。すると友達はすぐに納得して、「そうだよね。奈良くんと友達とかじゃないもんね」と言う。詩音はいつものように笑った。

あたしはピエロ。何度も詩音は繰り返す。どんなに苦しくても、辛くても、みんなのために笑顔でいないといけない。それがあたしの仕事。そう繰り返す。

今日は母の検査の日だ。いつも検査結果をすぐに母は教えてくれる。それが気になり、いつもより笑えているか心配になってしまう。

颯の視線をどこか感じながら、詩音は何とか四時間目まで乗り切った。

(そろそろ検査結果、お母さんが送ってくるかな……)

詩音は友達とお昼ご飯を食べながら、チラリと教室にかけられた時計を見る。ドキドキしながらスマホを手にした。
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