分岐点  ~幸せになるために

毅彦から キス以上を 求められないことは

救いでもあり、悲しみでもあった。


そこから先は 地獄だって わかっているけど。


今よりもっと 確かな関係に なりたくて。


毅彦に 求められないことで

私は 少し 傷付いていた。


もしかして 私には それだけの魅力がないの?

それとも 私は 不倫相手にする 価値もない?


結ばれてしまえば もっと苦しむのに。

でも せっかちな若さは 答えが欲しくて。


不倫相手でも 構わないから…


自分の位置付けを 明確にしたかった。


「今週末、妻がいないんだぁ。」

「んっ?」

「社員旅行だって。娘は 実家に預けるから。俺 一人なの。」

「へぇ…」


なんて答えればいいのか。

毅彦は 何を言ってほしいのか。


わからなくて 黙って 毅彦の顔を見る。


「俺達も 2人で どっか泊まろうか?」


歩きながら 私の顔を 覗き込む毅彦。


私は 少し笑って 小さく 頷いてしまった。








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