分岐点  ~幸せになるために

「ねぇ。毅彦さん…どうして私と 付き合うの?」

愛を交わした後の 甘く 気怠い時間。

「んっ?」


狭いベッドの中で 優しく 触れ合いながら。


「沙耶香 可愛いから。」

「嘘。毅彦さん 私のこと なんとも思ってなかったでしょう? あの時まで…」


「ハハッ。沙耶香もでしょう?」

「うん… ただの課長だった。」


「なんでだろうね。あの時 引き合うみたいだったよね?」

「うん。驚いたけど。無理やりじゃなかった。」


「俺達 多分 好きだったんだよ ずっと。」

「そうかなぁ…」


「自分を 抑えつけていたから 自覚がなかったんだよ。」

「だから 今こんなに 幸せなのかな。」


「…沙耶香…?」


毅彦に 求められるほどに

私も 毅彦を 求めていた。


未来のない関係は 儚くて。

目の前の 実態だけが 頼りだったから。


毅彦が好きなのか 今の状態が 好きなのか…


だんだん わからなくなっていたけど。

それでも 私は 確かに 恋をしていた。









< 27 / 85 >

この作品をシェア

pagetop