分岐点  ~幸せになるために

土曜日、毅彦は 仕事って言って 家を出るから。

私も 通勤の服装で 待ち合わせの駅に 向かう。


改札の手前 毅彦の姿を 認めて。

「おはようございます。」

笑顔で 駆け寄る私に 

毅彦も 照れたような顔になる。


土曜日だから…

都心を離れる電車は 混みあっていて。


私達は さりげない距離を 保ったまま。


もし 誰かに 見られても

偶然を 装えるように。


私達は 普通の恋人じゃ ないから…


寂しいはずなのに。


毅彦の瞳に 感謝の色を感じると

私は 満足してしまう。


本当に このままで いいの?


こんなに 気を使って。

それでも 毅彦と 一緒にいるのは 何故?


何度も 自分に 繰り返す思い。


毅彦が 好きなのか… 不自由な恋に 酔っているのか…


どっちにしても 私は もう 一人になりたくない。







< 31 / 85 >

この作品をシェア

pagetop