分岐点  ~幸せになるために

大晦日は 近くに住む 姉一家が来て。

姉と一緒に 母の料理を 手伝い。


「沙耶香 恋人 できたの?」

「えっ。できないけど。どうして?」

「うん… 何か 大人っぽくなったから。」


姉は 私をジロジロ見て 言う。


「大人っぽくなったって 老けたってことだからね。」


ハッとして 曖昧に笑う私に 母は 毒を吐く。


「失礼ね。これだから 帰るのイヤなのよ。」


「まぁまぁ。でも 綺麗になったよ。垢抜けて。すっかり 都会的だし。」


「お姉ちゃん。そんなに 持ち上げても ムッちゃんのお年玉 増やさないわよ。」


姉は 小さな頃から 素直で みんなに 可愛がられた。

人見知りで 憶病な私は 姉が羨ましかった。


姉のように 生きられたなら…


私も 今頃 地元で結婚して。

赤ちゃん産んだり していたのかな。


でも 私は私だから。


姉のようには 生きられないし。

幸せの形は 一つじゃないって。


今は 信じて… 生きていくしかない。








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