分岐点  ~幸せになるために

頼太は 若いから。

私よりも… もちろん 毅彦よりも。


もっと せっかちに 荒々しく 抱かれることを 想像していた私。


「頼太って 優しいね。」

「えっ? そうかな。」

「うん。すごく優しいよ。」


ベッドの中で くっついて話す。


「沙耶香だから、だよ。」

「頼太…」


今までだって 頼太から 愛されていると 思っていたけど。


私 本当に 大切にされている。


「嬉しい… ありがとう。」

「んんっ? 急に どうしたの?」


「ううん。すごく 幸せだから。」


「こっちこそ 嬉しいよ。沙耶香の 喜ぶ顔が…」


最後まで 言わずに 頼太の指は 滑り出す。


私 すごく愛されている。


そう思うことが 頼太への思いを 深める。


頼太… 私だって

頼太に 喜んでほしいし。

もっと 頼太を 喜ばせたい。


身体を重ねたことで 愛情が強くなって。


私は もう 頼太しか 見えない。






< 72 / 85 >

この作品をシェア

pagetop