分岐点  ~幸せになるために

夏の休暇に 私達は 一緒に帰省した。


もちろん お互いの実家に

別々に 帰ったけど。


「どうしたの? 沙耶香が 夏に帰って来るなんて。」

「うん。たまには お墓参りでも しようかと思って。」


「珍しい。ご先祖様が 腰抜かすよ。」

「ホント、お母さんって 失礼よね。だから 帰らなくなるのよ。」


「ハハハッ。沙耶香が ごまかすからだよ。何か あったの?」

「もう。いやねぇ。何もないわ。」


照れくさくて 中々 言い出せなくて。

翌日 頼太は 私の両親に 挨拶に来る。


「なぁんだ。ホントに 何にもないの? お母さんは てっきり いい話しでもあるのかと 思ったのに。」

「何もないわけでも ないけど…」

「なんなのよ。どっちなの?」


「うん。明日 彼が 挨拶に来るから。お父さんとお母さんに。」


「ちょっと。そんな大事なこと 先に言ってくれないと。部屋も 片付けてないじゃない。」

「いいわよ。知らない仲じゃ ないんだから…」


「はぁ? 何? どういうことなの?」

「うん。私 頼太と 付き合ってるの。」


やっと 母に言ったけど。

私は 耳まで赤くなるほど 恥ずかしかった。


「はぁ? 頼太って。竜平の友達の あの頼太?」

そうだよね… お母さんにとって 頼太は 弟の友達。

まさか 私の恋人に なっているなんて 驚くよね。


「ちょっと 沙耶香。大丈夫なの?」

「大丈夫って 何が?」


「あんた。3才も年上なのに。頼太んちの親に 反対されない?」


「フフッ。そうよね… どうかしら。許してもらえなかったら 駆け落ちでも しようかな。」


「馬鹿なこと 言ってないで。本当に どうするの?」


地方では 3才も年上って 大変なことなのかな。


幸せな恋を しているつもりだったけど。


前途多難だなぁ…






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