囚われのおやゆび姫は異世界王子と婚約をしました。
37話「王子、色鮮やかな過去を語る」




   37話「王子、色鮮やかな過去を語る」




 ラファエルは、捕まっていた妖精達を全て助け、そして弱っていた者には治療を行った。それでも死んでしまう妖精も多く、劣悪な環境で過ごしていたとわかった。


 そして、あの膨大な魔力を持つ人間の大きさの妖精。彼女は、セフィーと呼ばれ妖精達から信頼されていた妖精だった。
 だが、無理矢理契約を結ばされ、無理難題を押し付けられていたようだ。どうやら、工場のエネルギーを産み出す作業を永遠と行わされていたようだ。そして、そのあとは見世物として闇の世界のオークションにかけられる予定だったようだ。

 
 セフィーは人間を嫌い、始めは病院さえも拒んでいたが、ラファエルは何日とかけて彼女の元に通い、治療魔法を施していき信頼してもらえた。
 ラファエルは領内の病院で治療させたが、セフィーはまもなく死亡した。


 「お母さんが……?」


 セフィーが守っていたのは、自分の娘、カーネリアだった。
 カーネリアは、ラファエルより少し年は下の女の子だった。始めは誰にも懐かずに、人を怖がっていた。だが、ラファエルやリト、アレイが毎日のように関わるうちに、打ち解けていくようになった。母親と同じように元気になってきた。
 
 せっかく元気になり、母親との再会を楽しみにしていたカーネリアに、母親が死んだ事を告げるべきか迷った。けれど、いつかは知ってしまうのならば、とラファエルがカーネリアにそれを伝える事にした。「君の母親、セフィーが死んだ。助けられなくて、ごめん、カーネリア」と、ラファエルが伝えると、カーネリアの表情はどんどん歪んでいった。



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