囚われのおやゆび姫は異世界王子と婚約をしました。



 「被害に遭った者はいません。ですが、首謀者には逃げられました」
 「またか。優秀なものが多い領土なのにどうした」
 「申し訳ございません」
 「謝罪の言葉などいらんよ。望むのは奴ら組織の壊滅だ。ラファエル、私はおまえの力を頼りにしているんだ。そのために、おまえの婚約を認めたのだ。わかるか?」
 「はい。感謝しております。国王の信頼に恥じぬよう必ずや成功させてみせます」
 「期待している。もし難しい場合は婚約者のハーフフェアリの力を使う事も許可する。そのための契約妖精でもある。婚約を認めたのも半分それが要因だしね。使えるものは使えばいい。被害は最低限に抑えるのは守って欲しいがな」
 「最後の手段として考えています」
 「それはおまえに任せる。いい報告を期待している」
 「はい」


 そう言って、深く頭を下げると、鏡の表面がゆらいで国王の姿はゆっくりと消えていった。そしてラファエルが顔を上げる頃には、普通の鏡に代わっており、そこには無表情な自分の表情が写っていた。


 「俺はシュリを守るために契約したんだ。使うためじゃない」


 聞く相手もいない鏡の前で、強くそう言葉を落とし、その場を後にした。
 やることは一つ。
 奴らを見つけて、殲滅することだ。

 ラファエルは、鏡が置いてある地下室を後にして、彼女が眠る自室へと向かった。
 
 
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