【完結】一夜の過ちで身籠ったら、夫婦が始まってしまいました。




 「はい」

 「分かった。ありがとう。 あ、カルテ机に置いといてくれ」

 「分かりました」

 するとその時、医療用ピッチが鳴った。電話に出ると野山先生からだった。

 「はい。神山です」

 「野山です。……神山先生、産婦人科まで来れますか?」

 「分かりました。すぐ行きます」

 俺は急いで産婦人科まで向かった。野山先生は診察室にいた。

 「野山先生、お待たせしました」

 「神山先生、これ見て?」

 野山先生からは、あるカルテとエコー写真を見せられた。

 「なんですか?これ」

 「あなたの奥さんの、エコー写真よ」 
 
 「えっ? 朱鳥の?」

 これが朱鳥のお腹にいる赤ちゃんの、エコー写真……?赤ちゃん、すごく小さいな……。

 「そう。神山先生の奥さん、不安なんだって」

 「……え?」

 「赤ちゃんを生みたい気持ちがあるのに、今は赤ちゃんが出来たことを、後悔してるって。生むことが怖いって、言ってた」

 「……朱鳥が?」


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