私に婚約破棄を告げた王子が盛大にフラレました
 私が転生した世界は、発売当初「変わり種の乙女ゲーム」と評判になったゲームの世界だった。

・まずヒロインが銀髪紫眼のエルフのお姫様(感情移入しにくい!)
・そしてその姫が何故か人間世界の魔法学園に留学生としてやって来るところからゲームスタート(魔法ってエルフの方が得意じゃないの?)
・ゲーム期間は最終学年の一年間
・攻略対象はこの国の第一王子、宰相の息子、教師、藁人形、スライム
・ライバルキャラ(※私だ)はいるけど大した悪事も起こさず、最終的にヒロインが選ばなかった攻略対象とくっつく
・OPが電波(これ作った人のテンションどうした)
・でもEDは超クオリティの高い個別キャラソン

 等々、意欲的に尖った設定やシステムを取り入れた部分と王道テンプレを狙った部分が見事に不協和音を起こし、シナリオは痒いところにあと一歩手の届かない残念な出来だと酷評された。

 だけれど原画に人気神絵師を起用し、キャラの中の人は今をときめく売れっ子声優ばかり。そしてその声優たちが歌うキャラソン。なにより、残念なシナリオも実は噛めば噛むほど味が出る(かもしれない。そう思いたい)と世の乙女たちに一大ブームを起こす。

 そんなゲームの名(迷?)脇役公爵令嬢ゾフィーネ=パソスに自分が転生したと気づいた時、私は両拳を天に突き上げ神に感謝した。
(間近でヒロインの恋の行方を見守れるポジション転生キタコレ……っ!!!!!!)

 ゆるくウェーブした豊かな黒髪。ちょっと気の強そうな印象を与えるけど形の良い金色のアーモンドアイ。つんとした鼻に不機嫌な表情が似合う桃色の唇。低めの身長に対して大きめなけしからんおっぱい。華奢なウエスト。小さなお尻。

 こんなツンデレ系美少女に転生できただけでも神様感謝マジ感謝。なのにこのゲームの公爵令嬢は不幸にならないのだ!
 仮にヒロインが私の婚約者である王子ルートを選択しても、私には新しい恋がちゃんと用意されている。ありがとうぬるゲーありがとう全年齢対象の健全安心設計!


(だけどやっぱゲームはゲーム、現世(現実)現世(現実)って感じで私が知ってる設定と所々ビミョーに違うんだよね)

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