BLADE BEAST

奪われる、瞬間。

朝。窓からは穏やかな日の光が差し込んでくる。

今日は最高気温を記録するような猛暑日になるのだと、お天気お姉さんが言っていたような気がする。



────私の心はその真逆だ。



姿鏡の前に立っている私は、首の後ろに回していた手をスッと下ろし、そのまま胸元に優しく触れていた。

そこには本当に小さく輝く星。

結局はトップスの中に隠れちゃうわけだけど、確かにその存在はあるのだと焼き付けるようにして何度も触る。




……付けない、だなんてそんなことは出来なかった。

眞紘が私のために選んでくれたものを、粗末にするみたいで嫌だったから。

──でも、付けたら付けたで結局胸が苦しくなるのだから意味が分からないんだ。





儚げなアイツの顔が浮かぶから。

"莉央"って、そう呼ばれたあの感覚が泡沫のように消えてっちゃうような気がして…なんでこんなこと考えてるんだってくらいに、

ほんと…苦しい。
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