BLADE BEAST





「何倍も傷ついてるのは彼なのではないかと思ったよ。死んだっていいと言っているような目をしてた。私は、彼がそんな無責任な行動をするわけないって思ってね」

「…っ」

「とにかく莉央は無事なのだということは確かみたいだったし、それにこんなに謝ってくる彼を執拗に責めるのは違うと思ったんだ」

「…っ」

「だから、無事だったんだろう?って聞けば、完全に守り切ることはできませんでしたって、頑とした姿勢だったよ」

「……っ、」

「俺の力じゃ守り切れなかったって」

「……っ、」

「だから、安心してください。俺はこの一帯から出ていくことに決めたから、彼女から離れることを決めたから、貴方がたの大切な娘さんが危険な目にあうことは今後もう二度と無いですからって」





────足の力が抜けたようにしゃがみ込んだ。

両親の前でこんなに感情を露わにしたことはないというのに、ポロポロと涙を流しながらうずくまる。


なんてこと、言ってんの。

そんなことだけ言い残して…私の気持ちは膨らむばかりじゃない。聞きたくなんてなかったよ。だって、馬鹿みたいにぶり返す。

勝手に…勝手に決めないで。

勝手に────消えないでよ。
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