溺愛王子は地味子ちゃんを甘く誘惑する。

なんて、凪くんはわかりやすすぎる冷やかしをして。


「凪。乃愛のことは頼んだからな」


嶺亜はしなくてもいいお願いをして。


「任せとけって」 


胸を張る凪くんに、私、ため息。


私、凪くんにまかされちゃうんだ。


……それはそれで不安しかないよ。



嶺亜が出かけて、ふたりきりになったリビング。


「あの……ご飯もうすぐ出来るんだけど、先に食べる? それともお風呂に入る?」


夕飯はミートソースのパスタ。私の数少ないレパートリー。


お風呂も帰って来る時間に合わせて沸かしておいたから用意はできている。


問いかけた私に、凪くんは身をかがめて言った。


「もう一つは?」


「もう一つ?」


なにかあったっけ……?
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