溺愛王子は地味子ちゃんを甘く誘惑する。

唇は薄くもなく厚くもなく、リップを載せている形跡はないのに、つやつやときれいなピンク色をしている。小さく開いているその唇が……なんだかエロい。


嶺亜と同じで、すっと高く嫌みのない形の良い鼻。


目は……レンズ越しだからか、とても小さい。


この顔に、バランスが悪いほど。


違和感は、これか。


「メガネ……外してもいい……?」


「だ、だめですっ……」


乃愛は、今にも取って食われるかのように身を固くして、目をぎゅっとつぶる。


……あ。


目を閉じたら、顔のバランスが取れたような気がした。


昨日風呂上りに見た、黒目がちな大きな丸い瞳を思い出す。


「なるほどね……そういうこと……?」


これで、昨日見た美少女の謎が解けた。
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