JKと幽霊

F「分かりましたよー!おじさんがどうしてここから出られないのか。」
お「……。」

反応がないおじさんが心配になり、Fは急いで押し入れを出た。

F「おじさん!!!」

押し入れを出たFの目の前には床に倒れているおじさんがいた。

F「ダメ!!!見つけたんだから!!!悪霊なんかになっちゃダメ!!!」

Fが必死におじさんを揺らすと…

お「ん…んー。あ、ごめん。寝ちゃって…ってどうしたの?」
F「へぇ!?いや、別に!?」

Fは咄嗟に距離を取った。

お「お…おう…。」
F「あ!そうだ。見つけましたよ?」
お「本当!?」

おじさんはそう言うと、一気にFがとった距離を詰めた。

F「ちょっ…。この写真に写っている私の死んだ親戚の人におじさんが似てるんです よ。」
お「写真見せて?」
F「あ、はい。」

驚いて握りしめてクシャクシャになった写真をFはおじさんに見せた。

F「この人。名前はY。どうですか?思い出せそうですか?」

Fは真ん中の上の列にいた人を指さした。おじさんに凄くそっくりだった。

お「んー。見た目はこの人なんだけど…どうもパッとしないし、成仏も出来そうに ないかな…。」
F「そうですか。じゃあ、私じゃなくてこの部屋に特別な理由があ……」
お「この子は?」

Fが諦めようとした時、おじさんは写真の右側に立っている男の子を指さした。

F「この男の子?おじさんとは似ても似つかないですよ?」

おじさんが指さした男の子はどっからどう見ても中学生だった。

お「うん。でも…何だかモヤモヤするんだ……。」 F「そう。この子はお兄ちゃんです。でも、産まれる前に死んじゃいました。」
お「産まれる前に?」
F「はい。私が産まれる前に。お兄ちゃんは12歳差になるはずだったんです。でも、 中学1年のときいじめられて自殺したってお母さんから聞きました。」

Fからそう聞くと、おじさんは頭を抱え始めた。

お「いじめ……?そうだ…飛び降りた…教室の窓…。誰かの悲鳴…。」

おじさんはボソボソと呟いたが、Fには聞こえていた。

F「お兄ちゃん…なの…?」

Fの目には少し涙が浮かんでいた。

お「いや、まだ分からないけど、何か思い出 せそうなんだ!!この子の名前は?それを聞けばきっと全て思い出して成仏 できるはず!!!」
F「え!?ちょっ…名前は聞いたことないんだよね…。お兄ちゃんとしか…。」

Fは、少し俯いて話した。

お「お母さんなら知ってるんじゃない??」
F「お母さんはもう死んだよ…。」
お「じゃあ……」
F「あ!」

お・F「「お父さん!!!」」

Fは早速、田舎に帰る準備を始めた。
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