誘惑じょうずな先輩。
「……うん」
そうだよね。
会おうと思えばいくらでも会えるし、
話そうと思えばいくらでも話せる。
いまはがまんして、……胡子ちゃんといっぱい話して気を紛らわそう。
「ありがとう、胡子ちゃん」
にへら、と笑って親友にお礼を言うと、「ううん!」と彼女も笑った。
「あ、神田くんのこと、忘れないでね」
……はっと我に返って言う胡子ちゃんがおもしろくて、笑いながら「大丈夫だよ」と頷いた。