誘惑じょうずな先輩。


先輩は、見た目も中身も、わたしなんかよりずっとずっと遊び人。



「かわいいゆんちゃん、俺ひとりじめ?」



なんでっていうくらい嬉しそうな顔。


途端に色っぽさから幼さに変わって……、
ドキ、って不可抗力なときめきひとつ。



「か、かわいくないですから……、」



先輩、わたしなんかより可愛い子、いっぱい見てきてるくせに。


いっぱい相手になってるくせに。



思ってもないこと、ヘーキで言うの、やめたほうがいいよって。



でも、少しだけ頬が緩むのは慣れない褒め言葉だからっていうことにしておく。



「んーん。
かわいーよ」



そう言ってわたしを座っている先輩の高さに合うようにしゃがませる。


視線が絡み合うのだけでわたしは心臓が暴れ回ってるのに……、万里先輩はまったく動じない。ぶれない。


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