誘惑じょうずな先輩。


「万里くんがゆんに会いたいのはわかったんだけど……、そろそろ教室もどった方がいいよ〜」



女子トークが長引きすぎて、次の授業が待ってる時間。


たしかに、ここでゆっくり先輩も入れて話しているヒマはあまりないらしい。



「先輩、……もどりましょう」



なかなか動かない先輩を不思議に思い、そう言うと。



「……もっとはやく会いたかった」



ゆっくり近寄ってきたかと思ったら、逃げる隙もなくぎゅうっと抱きしめられた。



……フリーズ。




え、え、……え?


なんで、抱きしめるの?!



しかも……、愛先生と胡子ちゃんがいるのに……!



かあっと顔が熱くなって、恥ずかしくて、のしかかる先輩の背中をゆるく叩く。



「ちょ……っ、先輩っ……、」


「なーに」



「な、なに、じゃなくて、はやくもどりましょ……う、よ」



「もうちょっと、おねがい」





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