またいつか君と、笑顔で会える日まで。
娘への愛情の深さを。そして、他人のあたしに対する態度も。うちの母とは大違い。まるで正反対。

「あたしが萌奈のお母さんだったら、自分の娘が死のうとしたことにショックを受けるより、自殺しようと思うほど追い込まれてた娘の気持ちに気付いてあげられなかった自分を責める気持ちの方が大きいと思うよ」

「うん……」

「でもさ、それも全部過去のことだよ。イジメられてそれを苦にして自殺を図ったことは過去の出来事。今、萌奈は生きててあたしとベンチに座って過去のことを振り返ってる。過去のことを後悔しない人なんてきっといないよ。だから、大丈夫だよ。萌奈はちゃんと前に進んでる」

誰にだって知られたくない過去の一つや二つある。あたしにだってある。

しかも、それは過去の出来事ではなく現在進行形で続いている。

左側の肋骨付近がいまだにじんじんと痛むのを無視してあたしは萌奈に微笑んだ。

「てかさ、悪いのは萌奈じゃなくていじめっ子じゃん。イジメられる人間が弱いとかいうやついるけど、絶対に違う。イジメてる奴らのが弱いんだよ。さっきだってみたでしょ?あたしに言い返すことも出来ずに顔真っ赤にして最後にはしっぽ巻いて逃げてったし。学校っていう小さな世界でだけ威張り散らす哀れな人間なの。あんな奴らの為に傷付く必要なんてない」

「っ……」

「萌奈の人生は萌奈だけのものだよ」

私は震える萌奈の体をギュッと抱きしめた。

中2の頃の萌奈にもこうしてあげたかった。生きていていいんだよっていってあげたかった。

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