またいつか君と、笑顔で会える日まで。
「リリカちゃ――」

「離して!!」

あたしは萌奈の手を振り払った。

「あたしのことなんてほっといて!!!」

「リリカちゃん!!」

萌奈の声が背中にぶつかったのに、あたしは無視して走り続ける。

走って、走って、走って、走って。

息も絶え絶えになりながら辿り着いたのは誰もいない屋上だった。

扉を開ける。広がった真っ青な空の眩しさに目を細める。

白い雲が風に吹かれて物凄い勢いで移動している。

そっと手を伸ばしてみる。触れられそうなほど近くに感じられる雲。

でも、絶対に届かない。

たくさんあるはずのどの雲にも触れることは叶わない。

まるであたしの幸せへの距離みたい。

触れられるかもしれないと期待しても決して掴むことができない。

どんなにたくさんあっても、掴めない。必死に手を伸ばしても、届かない。

「ははっ、はははは!!!」

その場に大の字になって笑う。

『リリカちゃんと友達になれて、私……幸せだよ』。

『あたしも幸せ!』

昨日の萌奈との会話が蘇る。

あたしは確かにあの時幸せだと思った。だって嬉しかったから。

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