またいつか君と、笑顔で会える日まで。
「母と離れた後、思ったの。自分の人生は自分だけのものだって。しかも、一度しかない。それなら自分の為だけに生きていきていこうって決めたの」

「自分の人生は……自分だけのもの……」

「そう。過去はかえられないけど未来はかえられる。自分の思いや考え方次第でどんな自分にもなれる。虐待されていたときの私はどん底にいたから、もうこれ以上落ちることはない。これからは這い上がっていくだけだって自分を励まし続けたの」

萌奈のお母さんが鼻をすする。

「今……幸せですか?」

そう尋ねると、萌奈のお母さんはにっこりと微笑んだ。

「もちろん。これからももっともっと幸せになるつもりよ」

その言葉に胸が熱くなる。

あたしと同じような経験をしている人がこんな身近にいたなんて。

あたしも萌奈のお母さんみたいになれるかな……?

こんな風にキラキラとした眩しい人に。

「幸せ」って胸を張って言えるようになれるのかな……?

「お母さんの過去……萌奈も知ってるんですか?」

「えぇ。全部知ってるわ」

「萌奈は……萌奈はなんて?」

「お母さんにどんな過去があったって、お母さんはお母さんだからって。そう言ってくれた」

萌奈らしいと思った。

もしも。もしも、あたしが今の状況を萌奈に話したら……萌奈は受け入れてくれるだろうか?

こんなあたしのことを。

……なんて。

きっとそんなこと考えるまでもない。

萌奈は受け入れてくれる。彼女ならきっと……――。

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