またいつか君と、笑顔で会える日まで。
「ねぇ、萌奈。夏休みになったらどっかいかない?」

「うん。どこに行く?」

「うーん、プールもいいし海もいいね。遊園地も動物園もいい。あっ、花火大会も行きたい!」

「選択肢多くて選びきれないなぁ」

「じゃあ、全部しよう。この夏は二人で楽しいこといっぱいしようよ」

「そうだね」

あたし達は肩を寄せ合って同じ空を見上げながらきらきらと輝く未来に思いをはせた。


翌朝、萌奈が学校へ行くタイミングであたしは一緒に家を出た。

萌奈のお母さんにお礼を言うと、「またいつでも遊びに来てね」と笑顔で送り出してくれた。

綺麗に整えられた制服とYシャツに着替えて家を出る。

バッグから取り出したお守りをポケットにしまう。

「なんかあたし、このまま普通に学校行けちゃいそうじゃない?」

「だね」

「って、本当は謹慎中だから出歩いちゃいけないんだけどねぇ」

へへっと笑うと、萌奈があたしに視線を向けた。

「あのさっ、今日もきていいよ?」

「え?」

「うち。着替えたら遊びに来て?むしろ私が帰ってくるまでこのまま家にいてもいいの。昼間、お母さんもいるし、それに――」

「いいって。今日は自分の家でゆっくりするから」

「でも――」

「大丈夫だよ。ありがとう」

出来る限り明るく振舞う。

「あっ、学校こっちでしょ?早くいかないと遅刻するよ~!」

「うん」

「じゃあね。また連絡するから!!」

「うん。私も連絡するね」

手を振りながら遠ざかる。

でも、何歩か歩いてすぐに萌奈が立ち止まって振り返る。
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