またいつか君と、笑顔で会える日まで。
【リリカちゃん お誕生日おめでとう】のチョコのプレート。

あたしだけの為に萌奈が用意してくれた世界にたったひとつだけのケーキ。

萌奈のお母さんが作ってくれた手作りのシチュー。にんじんが星形になっていてとても可愛かった。ブロッコリーは少し苦手だったけど頑張って食べたのは秘密にしておこう。

お皿だって今まで使ったことがないようなとても素敵なデザインだった。

涙が頬を伝った。

2枚目の写真はあたしと萌奈が二人でケーキを囲んでピースをしている写真だった。

画面の中のあたしも萌奈もくったくのない笑顔を浮かべていた。

すっぴんだったし可愛くはないけど、作り笑いじゃない心からの笑顔を浮かべたあたしは心底幸せそうでキラキラと輝いていた。

徐々に指先が痺れてきた。もう限界は近いのかもしれない。

震える手で画面をタップした。

どうしても伝えたかった。最後に、大好きな親友に。

自然と瞼が重たくなってきた。季節は夏だというのになぜかとても寒い。

全身がガタガタと震え始める。

もう一度スマホを見た。あたしは画面の中で笑顔を浮かべている。

あの瞬間、あたしは世界の誰よりも幸せだったと胸を張れる。

あたたかくてやさしくておだやかな気持ちになれた。

萌奈があたしを幸せにしてくれた。
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