またいつか君と、笑顔で会える日まで。
連日朝のワイドショーでセンセーショナルな事件として扱われて報道は過熱した。


リリカちゃんのお葬式は身内のごく少数のみが参列する形でつつましやかに行われた。

亡くなったお父さんの両親、リリカちゃんの祖父母に当たる人物はお葬式で号泣していたらしい。

母親が転居を繰り返したことで祖父母はリリカちゃんの足取りを追うことができなくなってしまった。

でも、数か月前ようやくリリカちゃんの住むアパートの住所を知り何度も手紙を送っていたらしい。

『困ったらいつでも連絡をください』

『どんなときだっておじいちゃんとおばあちゃんはリリカちゃんの味方です』

けれど、その手紙はリリカちゃんの目に触れることはなかった。

ポストから溢れていたあの手紙の中に、祖父母の手紙はあったんだろうか。

もしも、その手紙の存在にリリカちゃんが気付いていればこんなことにはならなかった……?

ワイドショーでは悲劇の少女として取り上げられていた。

こんな最悪な結末なんてこんなの酷い。ひどすぎる。

神様はどこまでも残酷だ。

そして、リリカちゃんの死から今日で一週間が経った。

今朝のワイドショーでは国会議員の汚職事件が大々的に取り上げられ、リリカちゃんの事件が報道されることはなかった。
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