またいつか君と、笑顔で会える日まで。
「……――!!」

椅子を引く手を引っ込めるタイミングを逸して後ろの机にぶつけてしまった。

彼女は驚いたのか体をビクッと震わせた。

「あ、ごめんごめん!あたし、力ありあまってて」

「いえ、大丈夫です」

ほんの少しだけ顔をあげたものの、あたしとは目を合わさずに小さな声で答えると再び机に視線を落としてしまった。

「あたしたちって同い年なんだし敬語やめようよ」

椅子の背もたれを抱きしめるように後ろ向きに座ってうつむく彼女の顔を覗き込む。

彼女はあたしの視線から逃れるように更にうつむいてしまった。

『よかったらこれ使って下さい』

あの時、あの瞬間、あたしは彼女のその声と優しさに救われた。

もうだめかもしれないと心が折れそうになっていたあたしに彼女はそっと救いの手を差し伸べてくれたのだ。

きっとこの様子じゃ彼女は覚えていないんだろう。

だけど、あたしは覚えてる。ちゃんと覚えてる。

「ははっ!そんなかたくなに嫌がんないでよ!」とあたしはケラケラと明るい声で笑った。

彼女と同じクラスになり、前後の席になれた。

今考えればきっと神様からの、最初で最後の人生最高のプレゼントだったに違いない。
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