またいつか君と、笑顔で会える日まで。
一橋リリカside
保健室を出ると、教室に向かわず近くの女子トイレへ向かった。

洗面台の鏡に自分の姿を映し出す。

『朝見た時から思ってたの。いつもより疲れた顔してるって。何かあったの?』

杏奈もすずも何も言っていなかったのに、萌奈には気付かれていたなんて。

本当は昨日から一睡もしていない。

目の下のクマはファンデーションとコンシーラーで隠しきれていると思っていたのに。

昨日家に帰ると、予想通り私は高橋からの暴力を受けた。

母は怯えて別室に逃げ込み、私を助けてはくれなかった。

暴力は高橋が酔いつぶれて眠るまで続いた。

ずっと正座させられていたせいで、足がビリビリとしびれていた。

ようやく解放された私はリビングの冷たいフローリングの床の上にあおむけになり天井を眺めた。

黄色く変色した天井のところどころにあるシミを目で追っていると、隣の部屋から顔を出した母があたしを罵った。

『リリカのバカ!たっくんのこと怒らせたせいで、お母さんまで叩かれたじゃない!!もう最悪よ!!部屋も滅茶苦茶!片付けておいてよね!!』

母はあたしを非難すると、ぴしゃりと扉を閉めた。

『だったら別れればいいじゃんか』

体中が痛む中、あたしは重たい体を持ち上げて床に転がる缶ビールを拾い集めた。
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