アスミルセカイ

この庭園は私にとって幸せすぎる空間なのである。
「あ、水溜り出来てる…」
植物を撮るのも好きだけど、空を撮るのも好き。
私が立っている位置から見える水溜りには、桜の木と青空が見える。
その上には散った桜。
私は迷わず、カメラを構える。
パシャッ

撮った写真を見返す。
「え…」
思わず声が出る。
水溜りには桜の木と青空だけではなく、…ー

「写真好きなの?」

知ってる顔だった。
けど全く話したことがない男子。
「雫ちゃん」
「…朝陽くん」
「まともに話すことなかったもんね。これが1番まともだよね!」

7年間ずっと同じ学校だったのに全く話したことがない幼馴染、月城朝陽(つきしろ あさひ)がこの水溜りに写っていたのである。
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