幼馴染に恋をして(杏那ver)
海斗の卒業式
私達はいつものように学校までの道を歩いていた・・
希望通り海斗は4月から明応大学医学部に進学する。
今日で海斗の隣を歩ける事が終わる。
小学校の時に一緒に登校していた斉木心愛さんも
明応大学に進学が決まっているのを落合さんに聞いた。
あれから私達は少しづつだけれど話すようになった。
斉木さんが同じ大学に行くのは想定内だったが
やはり私の胸は幼稚園の時に感じた時よりももっと痛みを感じていた。
今日が最後の二人の通学路・・
帰りは海斗パパとママがいるから本当に二人で歩くのは最後の
道のりの筈なのに海斗は何時もと変わらない。
そして校門に入った時に何時もと違う動きをした。
後ろを振り返り日の丸と校旗が掲げられている門に向かい頭を下げた・・
私はその姿に涙が浮かんだ・・
何時もの様に高校1年のフロアで別れ・・
そう、ここも何時もと同じ
「じゃ、あとでね」とだけ・・
私は教室に入り落ち込む・・
幼稚園の時にした約束は今日で終わり・・
私は海斗から
「大学で又一緒に登校しよう」
と言う言葉を待っていたのに海斗の口からは出る事は無かった。
やっぱりあの約束は海斗には負担だったのかな?
もしかしたら大学は斉木さんと通うのかな・・
やはりこの4年間も本当は斉木さんと通いたかったのに
私との約束で出来なかったのかも・・
自分で自分を苦しめるように辛い事ばかり想像し、
その考えに身勝手に傷つき私は机に涙を一粒落とした。
中学の入学式で新入生代表の挨拶をしたのは私。
その時、在校生代表で挨拶をしたのは海斗。
中学の卒業式で送辞を読んだのは中学2年生。
答辞を読み上げたのは海斗。
高校の入学式も同じだった。
そして今日の卒業式も送辞は高校二年生で答辞は海斗だった。
私が送り出したかった・・・
全てのセレモニーが終わり、卒業生が在校生と保護者の拍手に見送られ退出する。
海斗も私の少し先の通路を笑いながら扉に向かう・・
卒業生全員が退出し扉が音を立てて閉まった。
私と海斗の約束が満了した音だった。
(了)