婚約破棄されたので、森の奥で占いお宿をはじめます。
「それでも、断ることができないことぐらい、私にもわかっております」


「まあ……そうだな。建前かもしれんが、アルフレッド殿下はあくまで無理強いしないと言っておられるんだ。顔合わせをして、どうにも相入れなければ断ってもよいと……」



優しい王太子と知られるアルフレッドのこと。それは本心からの言葉なのだろう。

おそらく、万が一この話をお断りしても、王家からの咎があるとは思わない。
けれど、不躾に断ることもできない。一度は顔合わせをせねばならない。


そう。
顔合わせをしてしまえば、ますます断れなくなる。


そこで断れば、アルフレッドに私がケチを付けたと捉えられかねない。



やはり、どう転んでも断れる話ではないのだ。







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