白いジャージ ~先生と私~
「ゆかり・・私彼氏できた。」


「えぇ~~~!!!!あのバイトの人?」


ゆかりは、飲みかけのカフェオレを吹き出しそうになる。


「ごめんね・・・ゆかり・・応援してくれてたのに・・私もう限界・・」


「謝ることないよ・・・みんな弱いんだよ。仕方ない。先生のこと、忘れさせてくれるって信じるしか・・ない。」


ゆかりの手のぬくもりで、私は心のモヤモヤが消えていった。


「でも・・・代わりにしちゃだめだよ。たっくんを傷つけることになる。」

ゆかりは、握った手を優しく撫でる。


「・・・うん・・先生のことばかり思い出すのは・・悪いよね・・」


「今は仕方ない。でも、しばらくしても、先生の面影を追ってるなら、直には先生しかいないんだよ!!!」


ゆかりは、自分も辛い恋愛をしているにも関わらず、いつも親身になってくれるんだ。




体だけの関係は、嫌だとゆかりは言ってた。

でも、龍に会いたい・・と。

会う理由が、体だけなんだとしたら・・・


もう会えないよ・・と泣いた。

ゆかりの愛は・・・すごい。

いつか、必ず届くよ・・!


ゆかりのように、強くなりたいと思った。

でも、ゆかりは・・・強いわけじゃないんだよね。

自分に嘘が付けなかっただけ・・だよね。





私は、逃げたんだ。


ゆかりのように、引きずって引きずって、辛い思いしても

一途に誰かを愛すことを・・・諦めたんだ。



傷つくことから、逃げたんだ。

遠ざかる先生の背中を見続けることが、怖かった。
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