白いジャージ ~先生と私~
おばあちゃんのベッド


おばあちゃんのパジャマ




作りかけのポーチは、私の大好きなピンクだった。


おばあちゃんの大事な引き出しの中には

私の生まれた頃の写真や、お姉ちゃんとの写真・・

私の手紙・・


そして、お守りも入ってた。

『安産お守り』


お姉ちゃんと私が生まれるとき、

おばあちゃんは

お守りを胸に

待合室で 祈ってくれてたんだと

お母さんは話してくれた。




引き出しの奥には・・・

出せないままの手紙が置いてあった。


あて先は、私とお姉ちゃんになっていて、切手も貼られていた。



その手紙には・・・



『直ちゃんへ いつもお手紙ありがとう。

 元気そうで何よりです。

 お正月が楽しみです。

 毎年、あなたに会えるのを楽しみに生きています。

 お父さん、お母さんを大事にしてください。

 お体に気をつけて。』




『奈美ちゃんへ  お手紙ありがとう。元気ですか?

 早くそちらへ行きたいです。

 一緒に暮らそうと言ってくれてありがとう。

 また一緒に 時代劇見ましょうね。

 お父さん、お母さんを大事にしてください。

 お体に気をつけて。』



と、書かれてあった。



手紙をポストに入れてもらうことすら、遠慮していたおばあちゃんは

頼めないまま・・

天国へ行ってしまった。



「こないだ会ったとき、渡せば良かったのにね。」

お母さんは、涙を流した。



おばあちゃんの愛が伝わってくる。

家で暮らしたかったんだ、おばあちゃん・・



お姉ちゃんは叫びにも似た声で泣いた。

「私が・・・私がもっと・・早く・・おばあちゃんを・・・私が・・・遅かったから・・・だからおばあちゃん・・・死んじゃった・・」


お父さんがお姉ちゃんの肩を抱き、涙をこらえながら言った。



「最後に、夢が見れたんじゃないか。お前と時代劇を見ることを夢見て、きっと幸せに天国へ行ったんだよ・・」


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