白いジャージ ~先生と私~
後ろから、ゆかりが背中をツンツンしてくる。

「やったじゃん!!新垣、直のことしか見てなかったよ・・!!」

そんなゆかりの言葉に、真っ赤になってドキドキしてる私は先生からどう見えているんだろう。



先生を目で追うことが、私の癖になってるんだ。

私の横を通り過ぎた先生は、隣のクラスのうるさい男子達に注意しながら歩く。

こういう時、体育の先生って損だよね。

他の先生は、みんな椅子に座ってるというのに。


こんな瞬間にも、先生に恋してる生徒がいるんだろうな・・

先生のこと、じっと見つめてる生徒はいっぱいいるんだろうな・・


はぁ・・・。

先生、どうしてそんなにかっこいいの?

どうして、そんなに優しいの?


ゆかりに言わせると、『オヤジ』らしいけどね。

そんな意見を聞くと、ホッとするんだ。


みんながみんな、先生をかっこいいと思ってるように見えるから・・。


今、先生に注意された女子も・・・

先生が席に着いた隣に座る同僚の女の先生も・・・


みんな先生を好きなように見える。



恋って不思議。


先生を狙ってる女の子は、知ってるだけでも数人いる。

今年のバレンタインに、いっぱいチョコもらってたこと知ってるよ。


冗談半分で、

『矢沢は、俺にくれないの?』なんて言った先生。

私は、泣いちゃうくらい嬉しかったんだから。


チョコはあげなかった。


その他大勢の一人になりたくなかったから。

先生の『特別』になりたかった。


先生が、私を特別な生徒って思ってくれるなら、先生への恋心ずっと隠しておくよ。

だって、先生は私が先生をこんなに好きだって知ったら・・・

困っちゃうよ。


今までみたいに、仲良く話せなくなる。

先生の性格だから、本気で悩んで苦しむかもしれない。


先生が辛くなるなら、私はこの気持ち・・・心の中にしまっておくよ。

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