白いジャージ ~先生と私~
薄暗い店内は、大人の雰囲気が漂う。


私みたいな子供が入っていいのか、と思うくらい。


生演奏のピアノと


窓から見える夜景が


ここは夢の中だと錯覚させる。



店員さんに予約の名前を言う姿も、


何気なく私を気遣う仕草も


背筋をピンと伸ばして歩く後ろ姿も



大好きで


大好きで


仕方がないよ、先生。




真っ赤なソファーのような椅子に

オレンジ色の薄いライト。


観葉植物達が、


二人きりの空間にしてくれる。


窓から見える夜景は、


泣きたくなるくらいに美しくて


ため息が出る。



「ここなら、誰にも見つからないだろ?探しまくったんだからぁ!」


急に、かわいい笑顔になる先生。


イタリアンのコースを注文し、今日だけだぞってシャンパンで乾杯した。


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