白いジャージ ~先生と私~


涙でぼやける先生に


『キライになった』


と言わなきゃ。



言わなきゃ。




だけど、



言えないよ。





「先生・・・愛してる・・だけど、別れて・・」



「誤解すんな・・・!!」


握られた左手は、


先生の右手の震えを


感じる。



「私、やっぱり無理だから。先生は、娘さんとそのお母さんと生きていくのがいいんだよ!!!!」



初めて払いのけた手は


悲しみで泣いている。




誤解じゃないよ・・・先生。


受話器の向こうから聞こえた元カノらしき人の声。



『別れたから・・和人一緒に暮らさない?』


何も答えなかった先生は、


きっと頭の中で

家族三人の幸せな家庭を想像したはず。




私の存在が



先生の返事をできなくさせてるんだ。



先生には、新しい道が


できたんだよ。




早く気付いて・・・
< 337 / 480 >

この作品をシェア

pagetop