白いジャージ ~先生と私~
何も聞かないお姉ちゃんは また優しくなった。


暴れることも

夜中に音楽をかけることもなくなった。


私の部屋で何も話さずに本を読んだり、眠ったりした。



お父さんも

お母さんも

お姉ちゃんも

何も聞かないけど

きっと、なんとなくわかってる。



別れたと誰かに言うのは辛い。


誰かに言えば、それが事実であることを実感してしまう。


先生が、教師で良かった。


やっぱり、会えなくなるのは耐えられないから。


普通なら会えないもんね。


教師と生徒だから、


毎日会えるね。



嬉しいけど、胸の奥が苦しい。


声を聞くたび、


名前を呼ばれるたび、



私の体は

まだ反応する。



先生は、あれから一度だけメールをくれた。


『チョコうまかったよ。マフラー大事にしててもいいのかな』


まだ返事は返してない。


保護したメールも留守電も

やっぱり消せない。
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