白いジャージ ~先生と私~
「先生・・・こんなことしてて彼女に・・怒られない?」

大胆な質問をしてる自分に驚いた。

緊張し過ぎた私はいつもと違う自分になってる。

しかも・・『こんなこと』って言うほど、先生と私、何もしてないし。


「・・・なんで、そんなこと聞く?」

窓の外に向けていた視線を私に向ける先生。


「・・ううん・・・私が彼女だったら、いくら生徒でも・・やきもち焼いちゃうから・・」


思ったことがスラスラ口から出てくる。酔っ払ったみたいな感覚・・


「俺、彼女いないよ。お前だけに言うけど・・」


本当?

噂は嘘だったの?

先生は眠そうな目をこすりながら少し体を起こす。

「え?みんな彼女いるって思ってるよ・・それに、このクッションも・・」

私は、今自分が枕にしてるクッションを指差す。

「はははは・・それは、意味ないし。俺が昼寝するときに使ってる。」

昼寝するときに先生が使ってるクッションを、今・・・私が枕にしてるって現実が、また私の脳を麻痺させる。

「・・・クッションになりたい。」

もう自分で自分が、止められない・・


「はっははっは・・お前マジで変なヤツ。彼女は昔はいたけど、もう別れてる。でも、生徒には彼女いるって言ってたほうがラクなんだ。」

「・・でも、信じてるファンにとっては残酷だよ・・」

私はクッションに頬をくっつけながら先生を見た。

「そっか・・そうだよな。でも、今の高校生の恋って俺にはわからない部分が多いんだ。好きだって言ってても、彼女いるって知ったらすぐ同級生と付き合ってる。」

私は、依子のことを思い出した。

「俺としては、真剣に悩んで傷つけないように断ろうって・・でも、先生に想いを寄せる女の子の中には、軽いノリの子も多いって気付いた。」

先生は、また寂しげな表情で外を見る。

「でも・・・真剣に恋してる子もいるよ。先生のこと本気で大好きな子もいるんだよ。」

先生の目をじっと見つめながら想いを込めて話す。

だって、私もその中の一人だから・・・

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