白いジャージ ~先生と私~
「俺がどーかしたか?」

いつの間にか後ろに立ってた先生が日誌で二人の頭をポンってする。


「しかも、呼び捨てかよ。俺のことでもめんな・・」


わざと目を合わせないように荒木さんばかり見る先生。


「昨日、音楽室で何してたの?」


荒木さんはさっきまでとは違う甘い声で、先生に聞く。


「あー・・ちょっと矢沢が彼氏のことで悩んでたからぁ・・話聞いてただけだよな?」


「う・・うん」


普通に頷いた私だけど、内心は心臓が口から出るほど動揺してる。


「じゃあ、私も今日相談乗ってよ、先生。二人きりで音楽室で!!!」

やだ・・

絶対に嫌。

私たちの音楽室に、先生が他の誰かと行くなんて・・

耐えられない・・!!

先生の腕に触れる荒木さんを、突き飛ばしたいって思った。


私の先生に触らないで・・・



「相談なら・・いいけど、音楽室は今日は部活で使うと思うから教室でいいか?」



先生は大人だなぁ。


さらっと嘘が口から出るんだ。


ありがと、先生。


先生が先生である限り、仕方がない。


嘘の相談でも

乗らないわけには行かないもんね。




「矢沢さん、彼氏いたんだ・・疑ってごめんね。」



意外とあっさり、先生の嘘を信じた荒木さんは、なんとなく憎めない。


好きなんだね、先生が。


わかるよ。


私が荒木さんの立場だったかもしれないもんね。


先生が他の生徒と付き合ってたとしたら、


私は・・どうなってただろう。




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