白いジャージ ~先生と私~
「直がいなかったら、この1年乗り切れなかったかも知れないな・・こんなに大変な1年は初めてだったから・・」


先生は、彫った名前をゆっくりと撫でながら呟くように言った。


「ありがとな。お前のおかげで、俺・・・頑張れたんだ。」


久しぶりなせいか、私すごくドキドキしてる。

改めて・・先生が好きだって感じてる。

今更だけど、先生は本当にかっこいいなぁ・・

なんて。



見とれてしまう。

今日の黒のスーツ姿も

胸の赤い花も

さっき外したシャツ一番上のボタンも


素敵・・

大好き。

愛してる。




黒板の前に立つ先生が、私に手を伸ばす。


「直・・・目、瞑って・・・」



左手を先生の手に握られたまま、目を閉じる。

噴水の音がかすかに聞こえる。

静かな音楽室。


目を閉じると、よりいろんなことがわかる。

音楽室の匂い。

先生の呼吸。

先生の指の柔らかさ。


先生がそこにいる、安心感。





「いいよ・・・目、開けて。」


ゆっくりと目を開ける。





・・・夢・・・じゃないよね?




私の左手の薬指に



輝く


リング・・・



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