白いジャージ ~先生と私~

「始業式を始めます。」


いつもながらに長い校長の話。


先生は、あくびしながら目をこする。


今、目が合ったような・・気がする。



先生は、笑いをこらえるように顔を上に向ける。

ねぇ、先生。

どうしよう・・

依ちゃん・・先生の家まで行ったんだって。

もし、一緒にいるとこ見られたら・・・絶対やばい。




始業式を終え、教室に戻る途中の廊下で先生が私達を追い抜いていく。


依子・・

「新垣先生!!夏休み補習忘れてた!9月からやってくれる?」

依子は先生の腕を掴んで甘えるような声で話しかける。


やめて!!!!

触らないで。

その人・・私の先生・・



涙で先生の背中がにじむ。


「あぁ??里田か。補習に来ないということはそれなりの覚悟が出来てるんだろ?2学期の成績楽しみにしとけ!」

先生は、私の方わざと見ないように背中向けたまま話す。


「やだぁ~先生。今日、補習して!ダメ?」

依子のこの甘えた声が男心をくすぐるんだろう。

お願い・・・先生。

やだよ・・


「補習は昨日まで!!2学期は、バスケだからバスケで頑張れ!!」


先生は、振り向いて笑顔でそう言うと職員室へ入っていく。


私・・・ダメだな。

先生の笑顔が、他の誰かに向けられることが


こんなにも・・・辛い。









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