教えて、春日井くん


恥ずかしがって視線を逸らした春日井くんに胸がぎゅんぎゅんと締め詰められて、ガン見する。目が逸せない。焼きつけておこう。


いっそのこと写真撮りたいけど、カメラを起動する時間も惜しい。


見つめながら、こそこそと移動して春日井くんの横に立つ。



「な、なに? 綺梨ちゃん、どうしたの?」

「近くにきたくて」

「っ、そうなんだ」

日に日に春日井くんへの好きが積み重なって、限度がない気がしてくる。恋ってすごい。ここまで誰かに夢中になってしまうなんて。


「お湯が沸くまで、もう少し待ってて」

「うん。待ってる」

「え、ちょっ」

春日井くんの背後から抱きついてみる。

背中にぴったりと頬を寄せて、温かさに浸りながらどちらの心臓かわからない速い鼓動を感じる。


「すごい心臓の音が聞こえるね」

「綺梨ちゃん……」

弱々しく少しかすれた春日井くんの声が届いた。


「俺のこと、好きなんだなって今実感してる」

「うん、好き」

私もこうしてくっついていると更に実感していく。


「……できればあとで顔見て聞きたいけど、もうちょっとこのままでいたい」

かわいい春日井くんのお願いに心臓が転がりそうになる。

「私も、このままでいたい」


これ以上私をドキドキさせて、どうしたいんだ!と思い気持ちと、もっとして!という気持ちが織り交ぜになって、抱きしめる力を強くした。


……好きだよ、春日井くん。



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