教えて、春日井くん



「春日井くん」

「……うん、ちょっと待って」

「春日井くん春日井くん」

「なんか、こういうの初めてで」

片手を振ってみても春日井くんは一向に掴んでくれない。


「手は繋いだことあるでしょ? 私にも指絡めてきたことあるのに」

「そうなんだけど、いざこう……手を繋ぐってなると緊張するというか」

隣を歩いていた春日井くんが立ち止まり、髪の毛をくしゃくしゃにしてため息を漏らした。



「ごめん、すっげーかっこ悪い」

大丈夫。その姿、結構好き。それをもっと見せて!
両腕を広げたくなる思いをぐっと堪えて、心を落ち着かせながら提案をしてみる。



「歩く前から手を繋いでいた方がやりやすい?」

「そうじゃなくて……好きな子と歩きながら手を繋ぐって緊張するんだなって改めて思って」

どんな顔をしながら言っているのだろう。

顔を覗き込むと、ちょっと顔が赤かった。照れているのかもしれない。
やっぱり春日井くんの心にはウブ心が住んでいて、隠れているのだと思う。おいで。もっとこっちへおいで。


「それに御上さんに嫌がられるのが怖いのかも」

「? 私が繋ぎたいって言ってるのに変なの」


小さく笑うと、春日井くんが恥ずかしげに「笑わないでよ」と言ってくる。それがちょっとかわいい。もっとください。




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