会長サマと、夢と恋。
11.会長と、夏休み。

翌日、夏休みで生活リズムが崩れていたこともあり、目が覚めたのはとっくに「朝」とは呼べない時間だった。
待ち合わせが午後からで本当によかったと思う。

顔を洗って、朝食兼昼食を食べて、……ほんの少し、メイクをする。
とは言っても、透明なマスカラとフェイスパウダーを肌にのせたぐらいだ。
きっと岸会長は気づかないだろう。

昨晩のうちに決めていた服に着替えると、まだ少しだけ時間に余裕があるので、洗面所に行ってヘアアイロンのスイッチを入れた。

学校に行くときはいつも、面倒で縛ってしまう髪。それをストレートに整えていく。

(会長は、何も行ってくれないだろうけど、それでも)

アキとミナミに渡したマンガのネームの中に、主人公が好きな相手のために一生懸命オシャレをするシーンがある。

まるで、自分で作った物語の登場人物みたいだな、って思うとちょっとだけ頬が緩んだ。


待ち合わせまでは、少し時間があるけど、先に行って待っているのも悪くないよね。

ちょうど、駅まで行ける市内循環の百円バスが通っていたのでそれに乗った。

少し道が混んでいたけど、それでも駅に着いたのは十二時四十分。
待ち合わせの時計台の下にはまだ、会長らしき人の姿はない。

ドキドキしながら、鏡を取り出して色付きのリップを塗っていると。

「おい」

「‼︎」

突然後ろから低い声がして、リップを落としそうになる。

< 113 / 177 >

この作品をシェア

pagetop