無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。
[1]あざとい×真面目

キスしたくなったら、俺の部屋においで


……恋なんてしない。

勉強さえできればいい……そう思って生きてきた。

そう思うしかなかった。


若菜 凛李(わかな りり)、16歳。

今年で高校2年生になった。

真っ黒な胸のあたりまで伸びたクセのない髪に、冷たそうとよく言われるねこ目、メイクなしのありのままの顔。

凛李というかわいい響きの名前とは打って変わって、ザ・地味女だ。



「こっち向いてよ〜」



登校中にそう声をかけてきたのは、見ず知らずのぱっと見同い年くらいの男子2人組。

こちらを見ながらニヤニヤしている。



春風とともにフローラルの甘い香りが漂う。

ゴールドのストレートチェーンのピアスがキラキラと輝き、一段とその子のかわいさが増す。


そんな外を歩けば必ず声をかけられるほどの容姿を持つのは……もちろん私ではない。



「急いでるのでごめんなさい」



男子2人をなんとかすり抜けることに成功。
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