無気力なあざといくんは真面目ちゃんを離してくれない。

善は諦めたのか、私の顔をのぞくのをやめてドアノブに手をかけた。

やっと諦めてくれたか……とりあえず今日はいろんなことがあったから早く休みたい。

そうホッとしたのも束の間ーー。


善は左手で私の腰を自分のほうへと引き寄せ、右手で私のあごを持ち上げるとーーあっという間に私の唇を奪った。



「今日は頭の中俺のことでいっぱいにしてね、おやすみ」



軽く触れて離れた唇。
そしてとんでもないことを言い残した善は、私を残して部屋を出ていってしまった……。

呆然と1人になった部屋で立ち尽くす私。

柊木善という男は、想像をはるかに超えた危険な男なのかもしれないと、今さらになって思った。


ただでさえ善のことばかりを考えていたのに、善の言葉のとおり、夢にまで善が登場してきた。

初めての恋、初めての彼氏……これは思った以上に試練がたくさんあるような気がしてきた。

それでも、1番割合を占めている気持ちは、圧倒的に"善のことが好き"なんだから、後戻りすることはできない……。


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