バースデーカード
「う、うん……」


とにかくなにか返事をしなければと思い、ぎこちなく頷く。


そして顔をあげた時だった。


いつの間にか和樹の顔があたしの目の前にあった。


え?


と口に出す暇だってない。


次の瞬間にはあたしと和樹の唇は触れ合っていて、チュッと軽く音を立てていた。


すぐに離される手と唇。


「じゃ、また明日」


あたしが呆然と立ち尽くしている間に、和樹は顔を真っ赤にして背を向けたのだった。
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