恐怖ダウンロード
1つめはカップが割れる。


2つめはジュースを喉に詰まらせる。


3つめは通行人にぶつかられてこける。


「あと1つ……」


そう呟いた時、前方から紙飛行機を持った小学生が走ってくるのが見えた。


咄嗟に夢の後ろに隠れる。


夢はあたしを守るように両手を広げていた。


小学生が勢いよく紙飛行機を投げるのを見た。


それはふらふらと、今にも落ちてしまいそうな起動を描き、夢の横をすり抜けてあたしの胸にぶつかり、落下した。


あたしはそれを手にとり、小学生に手渡す。


「ありがとうございます!」


小学生は元気に礼を言って、また駆け出して行ってしまった。


それを見送ったあと、あたしは自分の胸を見下ろした。


愛子は胸が苦しくなっていたっけ。


「これで損失は終わり」


夢が呟いた瞬間、ポケットの中でスマホが震えた。


2人で確認してみると、そこには『損失を与えました』の文字が表示されていたのだった。
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