人権剥奪期間
「木工教室にあったの。これ見て! 手にしても警告音は鳴らないの!」


もっと順序立てて説明したかったけれど、興奮してしまってうまくいかない。


しかし、この言葉だけで花子は理解してくれた。


「相手に攻撃してもいいってこと?」


あたしはその質問に大きく頷いた。


「聡介は怪我をする前に生徒に手を上げてた。それでも警告音は鳴らなかった。そして武器を持っても警告音は鳴らない。つまり、これを使うことができるってことだよ!」


早口に言うと大志と聡介の表情も見る見る変わっていった。


「まだ武器になりそうなものがあるか?」


大志の言葉にあたしは何度も頷いた。


ハンマーもノコギリも十分にある。


「使えそうなものを全部持ってこよう」


花子はそう言うと保健室を出たのだった。
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